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涼しい顔の憎いヤツ [犬の犬吉]

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おいらは犬の犬吉だ。
最近暇で暇でしょーがねー、ぶらぶら歩いていても棒にも当たらない有様だ。

こっちがしけていると猫の奴に出くわした、
恨みはねぇがいっちょからかってやろうと近づいた。
すると猫の野郎が気づいたのか、すすっとどこかの家の門をくぐり抜けてしまった。
入ってからこっちに一瞥、優雅に散歩を再開してやがる!!
こっちが同じ様にもぐり込めないのをご承知ってわけだ。
世の中には猫好きが多いがこういうときのアイツラの顔はホント憎たらしい!!
オイラは好きになれねぇ。

さっきまでなかった恨みが出来た、憶えていろよー!!
と遠吠えするもそいつとはこれきりだった。



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罠の犬ケン・ポン [犬の犬吉]

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おいらは犬の犬吉。
此の頃” 犬ケン”が流行の兆しだ。

「右前足は左前足より強く両前足に弱い、左前足は右前足に弱く両前足に強い」
「じゃあ両前足は右前足に強いんだ」
「そうそう」

実はおいらが” 犬ケン”の発案者、こうしてあちこちの公園で広めている。

「じゃあちょっとやってみよう、犬ケン・ポンって掛け声出して同時に出す、いいね」
「ウン」
「犬ケン」
「ポン!…僕が右前足でおじさんが左前足だから」
「君の勝ちだよ」
「やったぁ!」
「じゃあもう一回、いい?犬ケン」
「ポン!…あっ僕が両前足でおじさんが左前足だから僕の負け?」
「そうそう。ルールは簡単だけど連勝は難しいんだよ」
「もう一回いい?」
「いいよ、犬ケン」
「ポン!」
「あ、またおじさんが勝っちゃたね」
「強いね、連勝だよ」
「まあおじさんは犬ケンのチャンピオンになった事もあるからな」
「ホント!?凄いや。必勝法とかあるの?」
「当然あるね」
「教えて欲しい!!」
「んー、でもタダでは教えられないな。と言うのはね、犬ケンは競技なんだよ。
本当なら負けた方は勝った方に勝利者賞として何かを渡さなければならない、
だから必ず勝てる方法をタダでは教えられないんだ。タダではね」

こうして何匹かに必勝法を売って最近は暮らしている。
頃合を見ては場所を移してまた犬ケンを広めて必勝法を売る。
白状するが競技としての犬ケンはやった事が無い。
賭け事は実入りが良くない、堅実なのが一番だ。



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あるあるある戦い [犬の犬吉]

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おいらは犬の犬吉。
最近は弟子のコロ吉を連れて歩いてる。

ある雨の日に軒下で震えてるこいつに飯を奢ってやったら、
それ以来おいらの事を兄貴、兄貴と慕ってついて来る。
まだ仔犬だから小さなボールみたいで丸っこい、それでおいらがコロ吉を名づけてやった。

コロ吉はおいらが何をしても、へぇーとかほぉーとか言って感心する。
嬉しいが詰まらない事にまで感服されると少々うんざりだ。
我慢できなくなっておいらがそれを伝えると、
「へぇー、とても勉強になりました。兄貴は凄いです」とまた感心された。

そんな或る日だった。
いつもの様にコロ吉を連れて公園を走ってたらいつの間にかあいつの姿が消えていた。
慌てて来た道を引き換えしてきたら、コロ吉は人間の女と遊んでいた。
女はコロ吉の事を「ちびちゃん、ちびちゃん」と呼び、あいつもわんわんとそれに答えた。
「この子首輪が無いわ、きっと捨て犬なのね。ウチ来る?」
そう言われてあいつは嬉しそうにクルクル回った。

コロ吉が女に抱きかかえられる瞬間、おいらと目が合ったが、
あいつはすぐに女の方に目を向けた。
その時おいらはどんな顔をしてたのかおいら自身は分からない。
だいぶ経って誰もいなくなってからその子を宜しくと遠吠えしておいらは公園を出た。
コロ吉とはそれきりになった。



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お前は光俺は影 [犬の犬吉]

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おいら犬の犬吉。
ある日、ダチのチロ公の案内で飯食いに出かけた。

「犬吉さん、おいしい店があるんですよ、へへへ」
チロ吉は確かここを右、いや次の角を右とややおぼつか無い調子で案内する、
探し回ってやっと着いた店は見た目普通の一軒家だった。
「最近は自宅をそのまま店にするのが密かに流行ってると聞く、
隠れた穴場ってやつだな」
おいらが入ろうとするとチロ吉が止める。
「犬吉さん、ここはただの家です…どうも途中で道を間違えちまったらしい」
そうして来た道を戻りつつまた探すが一向に見つからない。
腹も空いたが、随分歩いて疲れてきた。
「チロ吉、いつものところで食べようぜ」
結局馴染みの店で飯を食う。

「おかしいなぁ、どこで間違ったのか…兎に角安くて絶品の店なんです」
チロ吉は悔しそうに何度もそう言う。
実の所、チロ吉が言うおいしい店に案内された事は一度も無い。
いつも道が分からなくなり、今度、また今度と何度も挑戦し続けている。

そのチロ吉がぱったり姿を見せなくなった。

病気でもしているのだろうか、野犬狩りにでもあったのだろうか。
気ままな奴だったから、もしかしたらふらりと旅に出たのかも知れない。
その後おいらは、チロ吉を思い出す度、
あいつが案内しようとした店をさがしてぶらついた。

どこにあるのか検討も付かないが、なんとなくそのうち見つかる気がしている。



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激戦・犬吉越え [犬の犬吉]

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おいらは犬の犬吉だ。
今日は朝からパチンコ「キン肉マン」を打ったが、
肝心なところでアシュラマンが邪魔して、いやあどーにも回らねぇ。
景気付けにとすき家で牛丼を食おうと思ったが、金が足りん。

こうなったら仕方ない、桜高校のあすなろの木の根元に埋めたホネでもしゃぶるか。

いざって時の為に埋めたのがこの間だから掘り返すのは気が引けるが、
今がその時だから仕方ない。
ところが掘れども掘れども出てこない。
おかしい、確かにここだと思ったが、どうにも出てこねぇや。
腹が減って埋めた場所忘れたか?

すると木の上から嫌な笑い声がする、見上げたら猫の猫昌だ。
相変わらず吊り上がった卑しい目つきをしていやがる。
何が可笑しいと怒鳴ったら、お前の大事な物はそこには無いさ、お気の毒ときた。
さては猫昌の野郎、おいらが埋めた後で掘り返しやがったな、もう許せねー!!
えいやっとばかりに木に飛びつくが、まるで登れん、
そこで木の周りをグルグルしながら吠えまくるが効果はない、
それどころか仕舞いには負け犬の遠吠えと揶揄される始末。
いや実際そうだから揶揄でもなんでもないが。

どうしてやろう、どうしてやろうとおいらが無い知恵絞っていたら、
急に猫昌の悲鳴が聞こえて来た。
「た、助けてくれー!助けてくれー!!」
見れば猫昌はカラスに捕まり、空中遊泳の最中だった。
それを呆然と見ていたら何かが頭に落ちて来た。
拾ってみると猫昌のサイフ…しかも結構入ってやがる…

おいらはサイフを咥えると、キン肉マン・リベンジに向かった。
猫昌がどうなったかは知らない。



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