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狼は狼を呼ぶ [立川先生]

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教員免許は取ったものの、空き待ちで塾講師のバイトの日々を過ごした。
大学の恩師のつてで学期途中で赴任した学校にも慣れてきた頃、
受け持ちクラスの小百合が突然顧問になってくれと頼み込んで来た。

正直を言えば面倒であった。
クラブの顧問になるのは自由である、となると余計な仕事はしたく無い。
私がどう断ったものか考えていると、
小百合はウチのクラブは女の子ばかりだから楽しいですよと言い出した。
おいおい、ここは女子校だ、女の子しかいなくて当然だろと言うと、
小百合はニヤリと笑ってそうでしたと自分のおでこをピシャリと叩きおどけた。
暫く押し問答の後、まあ考えんでもないと一旦引かせる。
無論、考えるまでも無く答えは決まっている、ただの引き伸ばしだ。
そのうち諦めるだろう。

ところがその日の放課後、私は教頭から呼び出され、
クラブの承認申請書の顧問に君の名前があるがこれは本意かと尋ねられた。
寝耳に水とはこういうことか、どうやら小百合の奴、あの後直ぐ申請したのだろう。
教頭にこれこれこういう事だと説明し、考えるとは言ったが引き受けていないと言った。
すると教頭はそうでしたかと言った後、
実は彼女はあなたが赴任する前からまあしつこく交渉するのですよ、色んな先生にね、
しかし既に他のクラブの顧問だったり、あなたの様に気乗りしないから断られたり。
だから強制はしませんが、クラブに対してあれだけの情熱を消してしまうのもどうかと、
いや強制はしませんよ、何か厄介者を押し付けてしまうようですからね。
でもこうして申請書も出ている、後はあなたがこれを認めればいいわけで、
強制はしませんが、生徒のやる気を削ぐのは教育者としてはどうかなと。
いや強制はしませんよ。

その後何度教頭の強制しませんよを聞いた事か。
その繰り返しにうんざりしてつい、分かりました引き受けましょうと言ってしまった。



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