見知らぬ傘

或るイベントでの出来事。

その日は雨が降っており私は当然傘を持っていた。
某タレントのイベント会場で傘袋に入れ席に付きイベントを楽しんだ。
イベントは滞りなく進行し、最後のコーナーの撮影タイムが始まった。

順番に撮影をしていく、終った人から順次退場、
1列分席が空くとその後方の列が前に移動するシステムだった。

私は同じ席の位置のまま前に進んだ、
傘を持ったままなのは言うまでも無い。
自分の番になると鞄に傘を立てかけて置き、
撮影が終り荷物をまとめてそそくさと開場を後にした。
そして暫く店で物色した後ようやく店外に出、傘袋から傘を取り出した。

「？？？」

驚いた事にイベント前黒かった私の傘は紫色に変わっていた。

思い返せばイベント会場から出た直後くらいに何か探している男がいた。
何度か会場の出入り口で右往左往していて不審に思っていたが、
彼はこの傘を探していたのだろう。

でもどの瞬間に摩り替わったのか未だに分からない。
何度か手から離していたが足元に置いてあったし、
どちらが悪かったのかも不明のままだ。
一応会場に引き返したが関係者すら居らず会場はもぬけの殻、
もうどうしようもない。

取り違える可能性はあっても傘置き場での出来事と違い、
持って移動していただけに摩り替わったと知った時の不思議感さは大きい。

まあ救いだったのは私の傘より上物だった事か(苦笑)



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